いつもご覧いただきありがとうございます。
ウインドウショッピングや、買う予定もないのに本屋を見て周ると、知らないことを知ったり、理解できなかったことが腑に落ちる、
みたいな経験をすることがあります。
そのような現象は、インターネットを見ている時にも起こります。
先日、日本のとある服ブランドの過去作品を見ていた時、中国系の通販サイトに出品されていた服を見て、同じような経験に興奮しました。
雑にボカしますが、
上記画像の服を、偶然目にしました。
これを見てピンときたことがありました。
※マリアジャケット
※マリアジャケットパターン一部
この服がどう考えられて形になったのか
理解できていなかったのですが、
もしかして、前者から発展して出来たのでは?
と思えました。
さっそく、作者本人に連絡をしてみると、
本人が在籍していた時期のものではないものの、確かに記憶に残っているコレクションの一部であることがわかりました。
作者本人も、後者の形と共通点があると話しておりました。
これが源流だったのかと、、府に落ちた瞬間でした。
芸術作品などを解釈しようとするとき、多くの場合に、それよりも過去の作品からの、共通点や影響を参考にして、その造形や色彩の由縁を辿っていくと思います。
同じようなことが、服でも起こりました。
両者を比べてみると、
ランダムに見える線という共通点を感じます。
そしてその線の中に布を立体にして、身体に添わせるためのダーツが取られており、両者とも立体的な服になっています。
前者が直線によって構成していたのに対して
後者はそこから、線を曲線に発展させています。
そして曲線の中にもダーツが取られており、平面上ではなかなか再現できない立体性があります。
さらにランダムに見える曲線が、視覚的に女性の身体のラインの魅力を際立てるような線となり、前者と同じくジャケットとして完成されています。
そこからの最終的な服としてのまとめ方、仕上げ方は両者とも違います。
前者はシックな黒を基調に、質の高いであろうウール(?)か、なにか上品な生地に、キュプラか化学繊維の裏地をつけて、
袖口にファーをあしらっており、洗練されたモードな印象を受けます。
後者は一見素朴な綿の反物地を使っており、(でも実は海島綿という、光沢があり、上品さを感じる綿を使用)同じく綿の、織り柄のある生地を合わせて、二重で仕立てられており、
研ぎ澄まされた形に、素朴さのある日本の反物地を合わせたバランスに落ち着かせています。
個人的には、前者から影響を受けつつも独自の技法(型と縫製における)と日本の感性を体現させる気丈で、前者の影響下から独立させた表現に昇華させているように思えました。
そしてさらに発展させると、
丈を長くして、ワンピースに仕立てる。
ただ丈を長くしただけでなく、切り替えのリズムも調整されています。
こうして見ていくと、
実用的な範囲のデザインは、あくまでも応用美術として取り扱われますが
器や着物が美術館で鑑賞の対象となるように、
現代の服も素材や形だけでなく、造形やその意図を辿ることで、鑑賞の対象となりうるのかもしれません。
理解できなかった作品を、少し理解する偶然の出来事でした。
中国通販のURL
(ステマとかではもちろんありません。参考に見てみると面白いかもしれません)
https://tw.daigobang.com/zh-tw/item/aID-l1122094526.html?aID=l1122094526
こちらはマリアドレス(商品リンクです。すみません。。)
良かったら覗いてみて下さい。
https://k-kenkyusya.com/products/mary-dress-k205-sic-black